點心食べて、張り子づくりの作業経過を見せていただいた(勝手に見ただけだけど)小さな店をあとにして、いよいよ手指山へ向かいます。
商店街のはずれから、山側に折れて進みます。要所要所に「手指山」の方向案内があるので、人ひとりが通れるだけの路地を進むのにも心配はありません。心配ありません?……たぶん。
民家の脇を抜け、家庭菜園の間を通り、緩やかな階段を上がると、少しずつ茂る緑が多くなってきました。それでもまだ山登りというよりは細道を歩く感じです。
しばらく行くと廃校になった学校が現れました。小学校でしょうか、ゲートの上に坪洲菜園行公立學校という名称が読み取れます。
中は雑草で荒れていましたが、何年か前には、きっとにぎやかな子どもの声が響いていたのでしょうね。離島に行くたびに廃校を見るのですが、狭い香港でも間違いなく過疎化ってあるのですよね。少子化でもあるし。
廃校を右手にみながら、少しずつ角度が付いてきた道を進みます。大きなお墓があったり、そのお墓の周辺を手入れする人がいたり、まだ人が住んでいる気配のある家があったり。そんな中を進むと、徐々に道に「登る」といえるような角度が付いてきます。
15分ほど歩いたでしょうか、登ってきた道の続きは向こうに下る道、右側には新たな坂を登る道、左側は雑木林へ続く道。はて、どの道を行けばいいのやら? すぐ脇に日焼けしてハゲかかった地図はあるのですが、手指山山頂への明確な案内はありません。前と右に少し進んではもどり、何もないことを確認して「まさか雑木林の先に?」と少し進んでみると、そこに遅ればせながら~といった感じで案内板が出てきました。
遅い!この表示はハゲ地図の脇に設置すべき!などとブーブー文句を言いながら歩みを進めますが、
そんな文句はあっという間に引っ込むことになります。だってこの急傾斜―――。
先ほどまでの緩やかな道のりから一転、急傾斜に這うように設置された階段。山頂へ続く道はコレのみ。山肌に沿って螺旋状に登るような道はありません。
急階段でも笑顔の友人A。さすがプロのモデルちゃん。
はあはあと、息を切らせて登る5人。言葉はありません。というかしゃべる余裕なんてありません。最後の最後にだめ押し急階段。標高95メートルなめんな!と言わんがばかりに用意されていた試練に耐えるだけで精一杯です。
途中目線を投げた先には坪洲のとなりの島、刑務所の島として有名な喜靈洲が。
緑きれいぃぃはあはあはあ、海光ってるぅぅぅはあはあはあ。
……………(黙々と階段を上っております)…………
着きました。やっと山頂に着きました。
山頂が見えた!あと少しで頂上だ!というような興奮も感慨もなにもなく、大汗を流してひたすら足を動かしていたらポコッと視界が開けて、ハイ到着、という感じでした。
ここが坪洲の最高地点だーー(と無理矢理にテンションを上げてみる)
山頂の東屋からは青馬大橋が見えるはず……あああ、モヤっていてはっきりと見通せないのが残念。それでも手前に浮かぶ船を含めて海の景色、まばゆさは充分なり。
東屋の向かいの向こうにはランタオ島。ディズニーランドが見えますよー
スペースマウンテンの屋根、わかりますか?
その左手前を見下ろすと同じ坪洲の東灣が。
青緑の湾の向こうに茂る濃い緑の中には別のハイキングルートがあるのよね。今度はあちらにも行ってみたいなぁ。
手指山のてっぺんにあるこの大岩が手指山の「手指」の意味なのでしょうか。調べてみましたが明確な答えは見つからなかったのですが、せっかく登ったのでその岩の前で記念撮影を。他に誰も人影はなく、自撮り棒も持っていないため、わちゃわちゃと交代で撮影会です。
しばしの休憩ののち、山を下ります。下りは楽々。勢いが付くと転げ落ちそうな傾斜なので、気をつけつつもリズミカルにほいほいと。
往路でははあはあしながら眺めた喜靈洲も、帰りは落ち着いて見られます。
近くに見えるけど、地図で見ると結構な距離があるのよね。
町に戻り、『香港路地的裏グルメ』でもご紹介した祺森冰室でお茶を~と思ったら、なんと改装中。記憶の場所に店がないもんだから、ぐるぐる探し回ってしまいました。かなり大がかりな改装工事をしていたので、どんな店に変わってしまうのか、ちょっと心配です…。
で、仕方なく近くの別の冰室へ。凍檸茶と分けっこした西多士で水分&糖分補給しつつ、中環へ戻る船の出航時刻までおしゃべりをしたのでした。
標高95メートルって、ビルだと25~27階程度の高さのようです。途中からとはいえ、斜面に張り付くような階段でそれだけの高さを登るとは。標高95メートル、なめたらアカンですね。特にナンデモアリの香港の場合は―――。いやでも、実はそのナンデモアリの衝撃が愉快だから、万事無問題なのだけれど。
キンキラ仏像の萬佛寺も標高100メートルだとか。あそこも息切れしながら登ったなぁ。笑いながらだから余計息切れしたんだけども。