昨年11月、思いつきで行った西貢から、これまた思いつきで乗ったサンパン上より眺めた橋咀洲。
このときのことを書いたブログの「今度は地質群を歩き回りたい」というシメの言葉を実現するために、この5月、再び橋咀洲行きのサンパンに乗り込んだのでありました。
とはいえ“人生常に行き当たりばったり”が信条の私ゆえ、西貢からサンパンに乗って橋咀洲へ行く、行きさいすれば人の流れもあるだろうし、なんとかなるでしょ!という激アバウトなプランニング。そんな冒険にありがたくも香港在住の友人が同行してくれたという…(だまして連行したともいう)。
西貢から橋咀洲までは結構な数の船が出ていますが、あまり商売っ気がなくてのんびーりとした雰囲気の前回の船が気に入ったので、今回も同じところへと向かいました。
立て看板を確認していると「乗る?」と声をかけてきたおじさん……あ!前回と同じ人だ。
「ふたり? ひとり50ドルね。トイレはあっち、早く行っといでー、船出るから。帰ってきたら声かけて」
前回の乗船料は40ドルだったので、10ドル値上げなのかな?日曜日料金かな? それとも島に上陸するとプラス10ドルということなのかな? そのあたりが曖昧なまま提示の料金を支払ってしまいましたが、道々見てきた渡し船もほぼ同じ値段だったので、これが標準価格なのでしょう。支払いと引きかえにハイと渡された乗船券には「紅旗」という社名(?)が書かれていました。その名の通り、船の頭には紅い旗がはためいています。
乗客は6人ほど。港の中ではゆるゆるチャプチャプと走行して、外海に出るとぶおおおおおおーーとエンジン全開で飛ばします。
操縦席には船長さんのランチでしょうか、外賣の包みが置かれていました。お客を送り届けたらお昼ごはんなのかな、海上でぷかぷか浮かびながら食べたら気持ちいいだろうなーーーと思っていたら、全速力で航行中に操縦しながら食べ始めたぞ!!
外賣の器を抱える左手の甲でうまいこと舵を取っています。なんでもアリの香港だもの、「ひぇーー」とか「うわーー」なんて声が出ることもなく、熟練の技に「ほほぅ」と思わず感嘆してしまいましたよ。
前回は橋咀洲行きの乗客を降ろしてから吊鐘洲の海食洞を見にいきましたが、今回は洞穴が先。出発から20分ほど、つきだした山のような岩を回り込む洞穴が見えてきました。
前回よりも波が荒く、少し離れたところからしか見られなかったのが残念だけれど、この波があったからこそ、この地にこんな自然美が生み出されたのだものね。
写真撮影のための数分の停船ののち、再出航して向かうは目的地・橋咀洲。引き潮の時間は火成岩でできた道を渡って、香港地質公園に指定されている橋咀郊野公園へ行くことができ、今回の目的地はまさにそこなのでした。
吊鐘洲の海食洞から崖沿いに5分ほど進んで橋咀洲の桟橋に到着。足元が悪そうな崖でみなさん何かを取っています。貝?海藻?
波に揺れる足元に気をつけながら初上陸! 暑いです!
まず、ビーチ脇の表示で今日の引き潮の時間帯を確認。
小島へ渡ったはいいけど、気がついたら潮が満ちていて帰れませーーん!なんてことになったら大変だものね。行き当たりばったりで行ったくせに、こういうところでは防衛本能が働く自分に驚いたりもしています(笑)
14時24分から潮が戻り始めるようなので、それまでに行って帰ってこなくては。善は急げで先へ進みます。ビーチ脇を通って島を繋ぐ道へ。船から見たときは白砂の細い道に見えましたが、実際は結構な幅があり、ごつごつした岩がかなりの数点在しています。
踏み外さないように岩場を通り抜け、火成岩の道を渡り切って、香港地質公園「橋咀郊野公園」に到着。ここがなぜ地質公園なのかというと、数万年前の火山噴火に伴った溶岩流が海水で冷やされ固まり波に削られ風化して、不思議な亀裂のあるたくさんの岩場を作り出したから。その一部はまるで菠蘿飽のような形なので、菠蘿飽岩と呼ばれている(現地の説明板をテキトー意訳)ということでした。
公園入口のゲートをくぐり、なめていたら意外と急坂だった小山を越えて海側へ回り込みます。きれいな小花をつける野草などを愛でつつ、ごつごつ岩が並ぶ海岸へ。
ここの岩場でも何かをとり続けるおばさんが。小さな貝のようにも見えるし、海苔のようにも見えます。結局何を取っているのかわからなかったのですが、とりえずあのおばさんがここにいる間は、潮が満ちて帰れないということはなさそうです。
波打ち際にもゴツイ岩がゴツゴツゴツゴツと。
そして、その岩の表面が
亀の甲羅のようにひび割れています。ここまで大きな岩だと全体図が目に入らないので菠蘿飽っぽさも薄めですが、子どもサイズの岩だと…
こんな感じで菠蘿飽感が伝わってくると思います。(写真が下手で申し訳ない…)
数万年前に流れ出た溶岩流、それから長い時間を経てこのような形になった岩のてっぺんに立って海を眺めたり、写真を撮ったり。しばし大自然が作り出した“香港”を堪能させてもらいました。
ものすごい蒸し暑くて、のんびりする余裕はなかったのですが、目的を達して満足満足。周辺の人たちが戻り始めたので、我々も一緒に来た道を引き上げることにしました。
気持ちよさそうに進むカヌーの様子を見ながら紅旗の船を待ち、ブーンと西貢へ。海鮮街でラストオーダーぎりぎりの飲茶を食べて、この日の冒険終了となったのでした。
写真では曇天に見えると思いますが、なんのなんの。雲なんて何の遮りにもならない強い日差しとわき上がる湿度。あまりの暑さでiPhoneの液晶に貼っていた保護シールが、自然にべろーーんとはがれてきたことをご報告しておきます。
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香港地質公園めぐり、2か所目制覇!