3月下旬、東京の飯田橋という都心部ではあるものの比較的マイナーな場所に突如出現した香港の茶餐廳。既に熱い香港迷による濃いレポートがあっちこっちに上がっているようですが、オープンから2週間が経ち、お店の回転ペースも落ち着いたかな?という4月7日、満を持して訪れてみましたので、少し語らせていただこうと思います。
まっさらな気持ちで行きたかったので、あえて先達の皆様の訪問レポは拝読していません。以下、今さら感満載の話になるかと思いますが、その点ご理解のうえご覧いただければ幸いです。

平日の午後、香港贊記茶餐廳に到着したのは13時30分くらい。店内は半分ほどが空席で、「ふたりです」とスタッフの小姐に伝えると壁側の4人席に案内されました。
黒と赤がベースになった店内、ガラス板に挟まれたメニュー、壁に飾られた香港ビル群の写真、なんでしょう……定番や絶対がないのが香港だけれど、雰囲気や空気感は確かに香港、確かに茶餐廳。見えるものというより感じるものが“香港”らしい空間です。
こちらのランチメニューはA餐とB餐の2種。11時30分~14時までの提供となっていました。A・Bそれぞれをひとつずつ…と注文すると、すでにB餐は「終わりました」と。仕込みが少ないという可能性もありますが、「売り切れ」という言葉がなんともいえず心地よく響いたのは初めての感覚でした。よしよし繁盛しているぞ、と。
ということなので、注文はA餐とグランドメニューから蛋牛治(炒めたたまごとコンビーフのサンドイッチ 350円)を烘底で。烘底とはパンをトーストしてもらうことで、トースト代は+50円とのことでした。

ふんわりたまごにコンビーフの塩味がからんでおいしいんですよね、これ。美しく焼き上がったパンにたっぷりと具が挟まってきてボリューム感もあります!
この日のA餐は豆腐肉碎飯(Tea or Coffee付きで880円)でした。

オイスターソースで味付けされた豆腐と挽肉のあんかけがご飯にかかった、いわゆるぶっかけ飯です。単調になりがちなオイスターソース味も、チキンスープのおだしでのばしてあるので薄くなく濃くもなく、ちゃんとごはんになじむ味になっていました。
ご飯が日本米なのは仕方ない……でも、これがジャスミンライスだったら……なんてことはお値段を考えたら言っちゃダメね。
冬のような寒さになった日だったので、飲み物は熱奶茶(温かい香港式ミルクティー 280円)をいただきました。奶茶のエバミルクはネスレのものを使用しています。


食事のあとはこの奶茶と共に、菠蘿油(パイナップルパンのバターはさみ 220円)と蛋撻(エッグタルト 150円)を。
菠蘿飽は香港でも上位に入るくらいのクオリティだと思います!
クッキー生地はさくさくでホロリと崩れ、パン生地はふんわり感だけでなく食べやすいしっとり感もありました。焼きたて新鮮は間違いなし。香港で食べるものより甘さが控えめなのは日本人向けに計算されたものだろうと思いました。うっかりと奶茶に砂糖を入れてしまいましたが、併せて食べても甘さがくどくなることはなかったです。


蛋撻はクッキー生地でたまご風味が濃いめ。クッキー生地にほどよい塩気があるので、フィリングの甘さが引き立って上品な味となっています。フルフルのやわらかさがありながらギリギリ崩れないだけの粘度もあり、具合の良いやさしい口当たりです。


ずらっとフード写真がならんでいますが、半分こしていただいたんですよ。全部を私ひとりで食べたわけではありませんのでーーー(ここはしっかり言っとかないと!)
この日の店内、いくつかの席から広東語が聞こえました。東京に住む香港の方も続々と訪れている様子です。フロアを仕切る小姐も厨房のスタッフも香港人なので、オーダーを通すのもすべて広東語。いるだけでネイティブ広東語の世界なのですから、これはもう心躍らずにいられません。
気さくに声をかけてくれる明るい小姐は日本に来て5年目だそう。写真を撮らせてとお願いするとこの笑顔。厨房のスタッフもノリがいいったら。香港のこういうカジュアルでフレンドリーなところ、本当に好き好き!

帰りがけにこの店の背景をレジ担当の男性にうかがいました。
オーナーさんは香港人で、上環で
果樹園という店を経営しているとのこと。現在はスタンド形式の小さな店だけれど、近いうちに東京のこの茶餐廳のような店に変更をする予定もあるそうです。
また、メニューなどに描かれている木のロゴは、果樹園と同じモチーフを使っているとのことでした。

東京にゆかりがあるわけではないけれど、日本=東京との思いからこのたびの進出となったとのことで、これは別の方からうかがった話でお店に確認は取っていないのですが、なんでもオーナーさんは店舗を含めたビル丸ごとお買い上げになったとか。確かに、外観を見ると店舗のみならず上階もすべて赤がポイントになった色遣いで塗装されているので、そのお話も信憑性が高い…。賃貸ではなく、千代田区内にビル丸ごと……すごい、やっぱり香港の人ってやると決めたら大胆で豪快ですねぇ。

当面は日曜が定休となるため、土曜日は空席待ちの行列ができているようです。営業時間などもまだ定まっていないところもあるようなので、訪れる際はグルメサイトなどで最新の情報を確認してくださいね。
品数はまだ少ないですが、軌道に乗れば少しずつメニューも拡大するそうです。広東語を聞きながら香港茶餐廳の味を東京で。香港へ行きたいけれどそれが叶わぬ時に、心の隙間を埋めてくれる良いお店ができました。
※4月9日一部加筆
↓↓登録カテゴリーを変えました。
ここでTempoも売ったらいいのにー(写真のTempoは持参したものです)