好きな映画のひとつに『ノッティングヒルの恋人』があります。
ラブコメディ苦手、ヒュー・グラント苦手、ジュリア・ロバーツもそんなに…と、好きとはほど遠い要素の合わせ技だったのに、観てみたらもう~~~。ノッティングヒルの街並みに静と動の時がテンポ良く組み合わさって、夢物語に力業で引き込まれて最後はどーっと涙なみだ。
一番好きな映画のラストシーンと聞かれたら、ベンチで本を読むヒュー・グラント、その腿に頭をのせて寝転ぶジュリア・ロバーツ、バックに流れるエルビス・コステロの“She”、すなわち『ノッティングヒルの恋人』のラストシーンが好き!と答えます。有名な記者会見のシーンも好きだけれど、私は最後の最後、画面が暗転する直前のこのシーンが大好き。
で、なんの話かというと、遠い方の港町旅の最後にノッティングヒルへ行ったと。
ホテルから地下鉄で一駅、きっと歩いても15~20分ってところでしょう、ということで散歩をかねて歩きはじめて1時間。着いてません。なんだか全然知らん駅にぶちあたっています。三角形の点Aから点Bに行きたいのにCにいる、みたいな。
これでも街の中に立っている地図で一応位置を確認してから歩いているんですよ。それなのに迷う。道を間違う。どおおおしてえええ!
普通に電車で行けば良かったかもと一瞬後悔したけれど、それだと道々でちょうどいい具合に咲いていた、ソメイヨシノ、八重桜などの桜の花々を観ることができなかったから、結果オーライとしておきましょう。

20分程度のはずが90分かけてノッティングヒルにたどり着いた頃にはお腹もぺこぺこ。映画の世界がどうのこうのなんて、すっかりぶっ飛んでますわな。
まずは、ごはんごはん!
ザ・コンランショップでおなじみのサー・テレンス・コンランの三男が経営しているというデリカテッセンでオムレツを食べるべく向かいました。ノッティングヒルの賑わいからは少し外れたところにある間口の狭い店「Tom’s」です。


奥行きは広く、1階奥のダイニングは裏庭(?)から光が入るので明るい空間。地下はお持ち帰り専門のデリになっています。
サンドイッチやフレンチトーストなどカジュアルなメニューがならぶ中、私はPortobello Mushroom Omelettesをいただきました。チェダーチーズとエストラゴンの入ったオムレツです。

マッシュルームがはみ出るほど入ったボリュームのあるオムレツにトースト、飲み物はもちろんミルクティー。シンプルでおいしい。ふんわりとしたたまごの食感に、
ママさんの朝食を思いだし、まもなくお別れの英国に涙目。あああーん。
お腹を満たしてからにぎわう道へ出ました。「ああ、このマーケット、ああこの街並み、映画で観たなぁ~」という思いには至りましたが、さほど興奮しなかったのは人の多さからかも。
原宿の竹下通りとまでは行かないものの、やっぱり観光名所になっているだけあって、おだやかな街というにはほど遠い印象でした。
とはいえ、お隣同士それぞれが違う色遣いの壁なのに、不思議とお互いがなじみあってひとつの「街並み」を作っている様など、規制ではないのに統一できている認識がすてきな街だなぁと思いました。


ロケ地となった書店や青いドアの家、コーヒーショップなどをガツガツと探すことなく街をぷらぷらと。目の前に映画に出てくる書店のモデルとなった書店が現れたので、そこだけは記念に写真を撮ってみました。

点在していたノッティングヒルのカフェもすてきなところが多かったのですが、それよりも90分道に迷っている間に見つけてしまったベーカリーがとってもおいしそうで、私も相方ちゃんも実はそこが気になって気になって…(笑)
ぐるりと街を一周して、いそいそとそのベーカリーへきびすを返したのでした。ちょっとまえに大きなオムレツを平らげていたことはもう忘れました。
ウィンドーから中をのぞくと、さっきずらりと並んでいた大きなスコーンがもう残り4つになっている! たくさん下がっていたプリッツェルもあと4つ?うわわあーっと大慌てで中に入り、焦り気味に店員さんをお呼び立て。
日本に帰ってからの余韻をなんとか確保の後、店内でお茶することにしました。
セルフ形式のカジュアルなカフェが併設されています。お隣のテーブルではごっついおじさんと細身のおばさまがのんびりと窓の外を眺めながらチョコレートケーキを食べていたりして、そういうちょっとした光景に映画っぽさを感じました。

モカエクレアとイングリッシュアフタヌーンティーを今回はストレートで。カスタードクリームが濃厚で重みがあり、小ぶりなのに食べ応えありました。
イギリスの食べ物って否定されがちだし、さらにケーキってどうよ?って思ったけれど、しっかりおいしくいただきました。それに今回、食事でハズレはなかったぞ。
温かい食べ物を探すのに苦労はしたけれど、まずくてやってられん!ってことは一度もありませんでした。イタリアン、フレンチ、日本食といろいろな要素が入って全体のレベルが底上げされていると思っていいんでしょうかねー。まぁ、語るほどいいものを食べたわけではないのですが。
帰りは地下鉄でホテルへ戻ります。石造りの駅、狭いホーム、あ、ロンドンもホームドアがないのね。こんな狭いホーム幅では作れないか…。


パディントン駅から、ちょっと節約してヒースロー・エクスプレスではなくてヒースロ・コネクトという準急のようなもので空港に向かいました。
しかし、最後の最後も終点の空港ターミナルに到着してから間違いに気づき、大慌てでひとつ手前の駅にあるターミナルまで移動したという。
ロンドンなめんな!……はい、すみません。次はぬかりなく!
ボーディングゲートはおなじみのHSBC。見慣れたロゴにホッとしちゃいます。

初めて行ったサウサンプトンでは、セインツとセインツサポのあたたかさにチームがさらに好きになり、20年以上ぶりのロンドンではビッグクラブのゲームにも施設にもわくわくしました。いい旅でした!
無駄のないルートで移動して、きっちりと時間を使い切る旅も充実感があるけれど、地図を見ながら、あーでもないこーでもないと迷いながら旅するのって「異国に来た」感がいっぱいで楽しいよお。
とか、のんきなことを言っている相棒でごめんね。相方ちゃんには大変お世話になりました。次回は、港町から出ないかなり濃いめの旅を!(笑)
そして、港町といったら香港じゃないのか!?と思いながら、長らくの語りにつきあってくださったみなさま、ありがとうございました。
今度は短期間ですが、26日から近い方の港町へ行ってきます。
コンフェデ伊戦、あの対応を擁護するつもりはない。でも、それと応援は別だから!