先日、友人と「せつなくてせつなくて~」と
涙を流しながらも、せっせと青山通りを歩いたのは、行きたいお店があったから。東京Vシュランで紹介されたこともある店なので、『IZO』終演後は列ができてしまうんです。
泣いた直後にもう食欲かい!ってなツッコミは華麗にスルー。泣くとお腹が空きませんか?(私だけ?)
訪れたのは、京はやしやの青山店。青山劇場の並び、オーバルビルの地下にあるお店です。抹茶を使ったスイーツが有名な店ですが、スイーツ前にお腹を満たさないと…ということで、日替わりどんぶりを注文しました。この日のメニューは「生麩丼」。うわぁ。生麩大好き!
色とりどりの生麩と水菜、白髪ねぎがご飯にのり、さらにお出汁の利いたやわらかい餡がかかっています。どんぶりと言っても、お出汁でいただく雑炊のような感じです。
昆布かつおのしっかりした和のお出汁にちょっと生麩を浸して、ご飯と一緒にいただきます。ううう。おいしゅうございます。さっきまで目尻に水分が残っておりましたが、すっかりそんなことは忘れ去られております!(あんた余韻ってものがないのかい?って寅之助さん@IZOに突っ込まれそうだ…)
添えられたお茶葉の佃煮とお漬け物のすぐきを時折はさみつつ、かなりの量のごはんもあっさり完食です。そして、それだけで終わらないのが私たち。デザートのオーダーお願いします♪
京はやしやの看板メニュー、千代の白パフェです。
抹茶寒天、白玉、抹茶アイス、抹茶ソフト、ソフトクリームがこんもりたっぷり。しつこさがない甘さなのでぐんぐんスプーンは進みますが、乳製品はお腹にたまるぅ。さすがに後半はお腹がきつかったです。これは、スイーツのみで堪能しに行った方がよかったかも…と思うも時既に遅し。
京の街を逃げまとった以蔵さんに涙して、京の食事とスイーツをいただくと。関係がありそうで全くないけど、両方堪能した夕暮れどき、友人と今度は大阪公演で会うことを約束してお別れしたのでした。
さて、話の時間を進めまして。
昨日、
悪夢の19日公演のリベンジ!ってわけではないのですが、1月21日マチネ『IZO』5回目の観劇に行って参りました。
E列(この公演では8列目)という舞台を観るにも役者さんを観るにもとても良い席で、とっても期待している分、またあんなことが起きたらどうしよう…という大きな不安を抱えての入場です。この日の左隣は、チケット交換を通じて知り合った人なので、若干気持ちは楽でしたが。
安政南海地震で崩壊してしまった土佐の街を彷徨う以蔵の「わーっ!」という嘆きの叫びから物語はスタートします。19日の公演ではこの出だしからかなり声が荒れているのがわかり、「森田さん、のどやばいのかも」と不安に思いましたが、かなり持ち直した様子。よかった。叫んだあとに少々かすれが残るところはあるけれど、聞き取りづらい訳でなく、役柄の味になっているように思えました。
正直、19日の公演は語尾がかすれを通り越して消えてしまってセリフが聞き取りにくいところが何カ所かありました。この日が初見だった人にとっては理解できなかったのでは…とも思えたので、立ち直りをうれしく思います。
それでも、膨大なセリフ量で始終叫んでいる役柄なので、これから先の公演を持ちこたえられるのかどうか心配ですが、もともとのノドは弱くないはずなので大事にケアして乗り切ってほしい…。明日の休演日は仕事入れるなよ~!某事務所!
山之内家が土佐に入ってきたことで身分制度が明確になり、どんなにがんばっても下級武士はその身分からの脱却はできない。下級武士は上士からの無礼打ちを受けることもあり、刀を下げているだけで何の力をも持たない存在。兄のように慕っていた安五郎さんの死をきっかけに、力を持ちたいと強く願うようになる以蔵一気に描かれていきます。
そして、そんな以蔵に「人間になれ!武士になれ!」と剣術を教える師となる武市半平太。演じるのは田辺誠一さん。『荒神』に続いて2度目の共演ですね♪
諸々の書物から、以蔵の運命の元凶ともなった武市半平太が好きになれず、最初は出てくるなり「おのれ武市め~!」って恨みの目で見てしまいましたが、この物語が理解できてくるほどに、冷静に武市観察をすることができるようになりました。
田辺さんってかなりの細身の方だと思うのですが、所作で身体を大きく見せているのがさすがだなぁ~と思いました。もちろん衣装の下になにか着込んでいるのでしょうけれど、足の開き方、手の位置など、道場主として鍛えた体をきちんと体現しているですよね。それから、手をついてのお辞儀の時の背中のラインがきれい。ただ土下座するのと違って、それなりのプライドを見せなくてはいけない役柄ということもあってか、背はくっと反らせたままで曲がることがないんです。武市半平太は「アゴ」というあだ名が付くほど、アゴが出ていた人物なのだとか。田辺さんも常にアゴをつきだしているので、なんとなくそういう顔だと錯覚してしまいました。カーテンコールの素のアゴを見て、あ、田辺さんのアゴって普通だったんだ~って安堵してしまうほど、きっちり作り込んでいましたよー。
頭を下げると言えば以蔵も土下座しまくりですが、安五郎さんが亡くなる場面で、長ぜりふのあとの立ち回り、叫んだ後にそのまま土下座(泣き崩れる)するのですが、その時小さく背中が上下するのを見てしまいました。どれだけ叫んでも、殺陣をこなしたあとでも絶対にはぁはぁという息切れを聞かせない森田剛のスタミナってどんだけ?って驚くほどなのですが、こんな風にごく小さく息継ぎしていたんだね…。
この回はハプニングもいくつかありました。
まず龍馬が以蔵のため込んだ女郎屋の付けを払いに来る場面。懐からお金を出す弾みで、一緒に懐に仕込んであった拳銃がポロリ。舞台上で弾んでました。ゴム製なのね(笑)
しかし、龍馬も以蔵も芝居上その拳銃を拾いに行くことができぬまま場面転換。女郎屋で落ちた拳銃が勝海舟が乗る船へと一緒に乗っかってしまいました。
この場面で、勝海舟を演じる粟根まことさんが、さりげなーく銃に近づき、よどみなくセリフを言いながら銃を拾い、軽く愛でるようにしながら袂にしまっていました。銃が落ちたことに気がつかなかった人は、まったく分からないフォローだったのではないでしょうか。さっすが!
続きまして、武市半平太が以蔵が勝海舟の護衛をしたことに腹を立てる場面。
料亭の部屋へ呼びつけ、以蔵に怒りをぶつける勢いで杯を壁に投げつけ、それが跳ね返ってむなしく床に転がる…といったところなのですが、武市が投げた杯が、みごと部屋の格子の隙間にすっぽりはまってしまいました。たまたま杯が縦になってしまったからはまってしまったようですが、その瞬間、ポコッという可愛らしい音を立てていましたよ。
以蔵の運命を決定するシーンとも言える、以蔵とおみつのままごとのような三三九度の場面。
以蔵が追ってから身を隠すためのむしろを、2人並んで座るために敷くのですが、丸まったむしろが上手く広がらず、屈んで広げようとした以蔵さん。それでも上手くいかず、むしろに翻弄されてどたっ!ってヒジを殴打してましたが、大丈夫だったでしょうか?? そのどたっ!が相変わらずの小動物系の動きだったので、そこだけちょっと「剛くん」目線で観させていただきました♪
あ、あれ?こんなに長くなっちゃった。
もう語ると止まらないので、この辺で今回の話はストップしておきます。
さて、心配されたようなマナー違反をするような人は周囲にはおらず、じっくり舞台を堪能することができました。今回は、一瞬のこととはいえ歴史の上に確実に存在していた岡田以蔵が、ボロボロのむしろをまとって、商人たちに邪険にされてしまうその没落ぶりがせつなくて、そこで涙がつーっと。
「花が咲くころには 君は誰の名を呼ぶのか」そんな歌詞の劇中歌がながれるのですが、その詞が以蔵の心中を代弁しすぎていて、悲しくて悲しくて。あの歌は反則だよ…。
終演後、チケット交換で知り合った左隣の方から、信じられないお誘いが!
「28日、
A列のチケットが1枚あるんですけど…」
えっえっえっ、A列っ!!??
いっいっ行きます!行きます!ぜひ連れて行ってください!!
あまりにすごいお誘いに、激しくドモってしまいましたよ~。本気で驚きました。
舞台を観るには前すぎてキツイ位置ではありますが、森田さん中心で観させていただいていいですかっ?いいですか?いいですよね?
いやはや~。劇場の隣席って、悲喜こもごもですね。
A列なんて座って、まともに顔を上げて舞台を観られるのだろうか…。