魚蛋麺を食しに筲箕灣へ向かうバスの中、車窓に映った1軒の店にビビビ(←死語)ときました。
店頭のショーケースに並ぶパン類が遠目ながらおいしそう。店構えもなんか良さげ。ただそれだけの理由で、翌日、朝食を食べるべくその店へ向かったのでした。
場所は西灣河。その店はメインストリートの筲箕灣道(Shau Kei Wan Road)に面した小さな冰室。
冰室(びんさっ)は、茶餐廳より古くから存在する喫茶室のようなもので、今では名称を掲げる店も少なくなってきました。当然チェーン店などはなく全て個人経営なので、冰室と名の付く店はどこもこぢんまりとした店構えです。
一目惚れして訪れた「百利冰室」は、この地で営業して40年。残念ながらリノベーションしてしまっているため、当時の様子をうかがうことはできませんが、平日8時台の忙しい時間帯に満席のにぎわいってだけで、地元に根付いた人気というものが推し量れよーう。うむ。私のビビビ(←だから死語だって!)もなかなかのものよのう。
入り口近くの丸テーブルに空席を見つけ座ります。今日はこのあとランタオ島の友人を訪れるため、おみやげと出産祝いを携えておりました。プレゼントの入った袋を床に置くのもはばかられ、かといって抱え込んでいるにはかさばるし、「ん~どうしよう~」としばし悩んでおりますと、頭上から「ここに置きなさい」の声が。見上げるとやさしい笑みのおっさんが、どこからか持ってきた丸イスを私の横に付けてくれています。んまぁ。なんてジェントルマン! ありがとう!!
荷物も無事に収まったことだし、さて、食べますか!!
早餐の中から選んだものは、朝っぱらから猪扒飽。
AM8:00の揚げ物です。おっほっほ。
まずはセットでお願いした奶茶が登場。
この地の分厚いカップ&ソーサーが目の前に登場すると、それだけで気持ちがほっこりしますよねぇ。たとえギュウギュウ詰めの店内でも、ひとりほっこり。(笑)
それにしても、シュガーポットでかっ!! 継ぎ足しをする手間を省くためでしょうか。15cm角くらいの大型ポットに砂糖がどかん! きっと、これくらい大型のものを用意しておかないと足りないくらい、人の出入りが多いのでしょうねー。
スプーンに軽く1杯の砂糖を混ぜて、濃ゆくて甘い奶茶を楽しんでおりますと、やって来ました!朝から揚げ物!
おおお!なんと!パンが温かい。表面がカリッと焼き上げられています。猪扒飽といえば、ふんわりパンに揚げ豚を挟んだだけのものという認識だったので、パンに手を加えている品が出てくるなんて素直に感激。自家製のパンをずらりと並べたショーケースが魅力的に見えただけのことはあります!
パンの間には豚さん。そしてスライストマト。そのトマトに少し添えられたタルタルソース。
では、いただきます!
パン、うま~~~~い!!!表面のカリッとした部分を通過すると、もちっとふっくらした生地がやってきます。香港のふんにゃりとしたひたすらに頼りないパンも大好きだけど、ヨーロッパ系のしっかりしたパンも好きな私なので、両者イイトコ取りな食感がたまらんです。
もっちり感がしっかりしているため、熱い揚げ豚を挟んでもへにゃっとすることなく、しっかり厚みをたもっていたのですね。んもー。もう豚はどうでもいいや!(え?)
パンがおいしい!パンがおいしい!おいしいったら!!
いやいや。(←考えを改めた)
豚もおいしいです。叩いて伸ばしたりはしておらず、切ったままの姿で揚げられています。7~8ミリの厚みがありつつもやわらかくて、パンのもっちり感に抵抗することなく噛み切れつつ、かといって迎合することなくちゃんと豚よ!と食感も主張しているという。下味は塩こしょう程度なので、添えられたタルタルソースがうまい具合にパンと豚との味を繋いでくれています♪
なんかさー。
ビビビときた店に行き、朝から揚げ物かよ~と自分にツッコミつつ気持ちのままに頼んだものが、こんな風に美味しいと…うっ。し、シアワセですね…うううう。(感涙)
焼き立ての菠蘿飽はあら熱を取るためにカウンターにおかれていました。やさしい甘い香りが鼻をくすぐります~。「沙翁」という名前で知られているドーナツは、こちらでは「蛋球」という名前。タマゴの球。名前からも生地のしっかり感が伝わってきて、その文字だけでおいしそう~。
そして、子供がきゃーきゃーと喜びそうななんちゃってキャラのパンクッキーもあります。ひとつひとつの表情が違うのは職人さんの遊び心ねー。
大満足な朝食終了。空席待ちの人もいるので、長居は厳禁。さて、ランタオに向かいますか!と、身支度を整えて、どっちから通路に出ようかな~とともぞもぞしていると、プレゼントを置かせてもらっていたイスがすっと引かれ「ここから出ないさい」というかのように道が作られました。もちろん、イスを引いてくれたのは先ほどのおっさん。またしてもジェントルマ~ン。さりげなさがステキすぎる!!
パンの写真を撮らせていただくついでに、記念に1枚お願いしちゃいました。
百利冰室のジェントルマン。セサミストリートのオスカーがプリントされたTシャツがお似合いのオーナーさんです。
朝が早いので18時で閉店してしまいます。ご利用はお早めに~。